激動の10年

 大森望『現代SF1500冊 回天編 1996〜2005』(太田出版

 なにせ筆者言うところの“冬の時代”をくぐり抜ける時期が対象なだけに、とくに後半がすごいヴォリューム。これはさすがに「読了」とは言えず、ざっと眺め渡すのが精いっぱいです。評判をリアルタイムで見聞きした本も多い・・・どころか実際に読んだ本も幾つかあるのに、中身を全然憶えていないのがやっぱりショック。いくら“わすれんぼう”がキャッチフレーズの私でも、こんなことなら読むこと自体ムダでは・・・と思いそうになります。でもそこは気を取り直して、

(1)大森氏ご推奨のグレッグ・イーガン読み順をメモ。

  • (『祈りの海』→『しあわせの理由』→『宇宙消失』→『万物理論』→『ディアスポラ』。あれ、『順列都市』はどこで読めばいいのでせう?(^^;)2冊目でいいのかな)

(2)平谷美樹『エリ・エリ』その他が気になるので、名前憶えておくことにする。この人さいしょ女性かと思いましたが違うのかな?
(3)中途で頓挫していた飛浩隆『グラン・ヴァカンス』、吉村萬壱『バーストゾーン 爆裂地区』、小林泰三『海を見る人』そして「酔歩する男」に再トライしたい気分が湧き起こる。

  • 「酔歩」は、このまま読み続けたら気が狂ってしまうのでは・・というような恐怖に襲われて読めなかった。私には希有な体験。このあいだ文庫版の解説を見たら、眩暈と吐き気を催すような小説と書いてあって、やっぱり私の感じたあれを言っているのかなと思った。
  • 最初の2冊は、図書館の借出期間中に読了できずそのままになったもの。『海を見る人』はちょっと難しいところがあって挫折した記憶が。でも小林泰三は私の好みのはずというしつこい思いこみが未だある。

(4)いわゆるラノベ方面はいくらなんでも私には不向きでしょうと思い、元来ほとんどチェックしていませんが、妹尾ゆふ子『魔法の庭』と五代ゆう『〈骨牌使い〉の鏡』というのだけは気になったのでメモ。
(5)恩田陸はとうに全部読むのは諦めた(ペースについていけず)けど、それで良かったと確信(=さすがにあれだけ出せばやや玉石混淆らし)。

 他にも、読んでいる最中には「これ気になる!」というのがあったはずだけどもう忘れたっ。でもこの本を読んで、「自分は別にSFファンじゃないんだから、読んでない本がいっぱいあっても焦るのは止めよう」と改めて肝に銘じました。ちょっと気になったからといって、実際読めば好みに合わないものもいっぱいあるはずだし。はぁ〜。それと「文系SF」って不思議な言葉。