さらに共振中

 ウンベルト・エーコフーコーの振り子』(訳:藤村昌昭)読了。


 物語は1984年6月26日に終わる*1のだけど、まさにその6月26日に読み終えようとしていることに、前日に気づいて小さく戦慄。

 とちゅう延々と議論というかひとり語りが続く箇所が多いにもかかわらず、なぜか不公平にも『姑獲鳥の夏』みたいにゲンナリすることはなく、するすると読み続けた。最後のほうは詩的すぎてちょっとついていきにくい感じがしたし、これ“超訳”気味なのではという心配はありますが、読んで楽しい訳文になっていたのはえらいと思った。とはいえ、1回読んだだけではとうてい歯が立たず(泣)。『薔薇の名前』は私にして珍しく3回ぐらい読み返している本だけど、『振り子』は果たして再読意欲が湧くかな〜?

 作中作というか、ベルボの遺した断片、【ディー博士の奇妙な小部屋】がとても魅力的・・これをもっとずっと読みたい。

*1:異様に詳しい訳者あとがきが無ければ分かりませんでした