俗の俗なるかな

 やっと観た。みるからにお金のかかった濃くて暑苦しい画面なので、気候的に今ごろ、紅白歌合戦気分で年末年始にもピッタリ。

 ニコール・キッドマンユアン・マクレガー以外は誰が出てるのかも知らなかったので、ジョン・レグイザモジム・ブロードベントリチャード・ロクスバーグ(ロクスバラ?)の熱演にびっくり。特にいつもキュートな(笑)レグイザモは、ロートレック役なのでちっちゃくなっていてよけいに可愛らしいこと・・ブロードベントは『アイリス』でI.マードックの夫役だった人という渋〜いイメージなので、歌って踊ってヒロインを盛りたてる劇場主ジドラーになりきる姿はじつに意外。全体として楽曲はそれほど好みではなかったなかで、彼が悲壮に歌い上げる"The show must go on"には思わず涙が出ました。ロクスバラはなんと、この時観たシャーロック・ホームズさんだった。あんまり違う顔なので判らなかったけれど、この人もなかなか芸達者と知ったのは収穫です。

 新しい芝居の企画を全員総出で伯爵にプレゼンテーションする場面の"The Pitch(Spectacular Spectacular)"、ブロードベント&ロクスバラが食卓で踊りまくる"Like a virgin"、アルゼンチン・タンゴ版"Roxanne"など華々しいところが私は気に入りました。ニコール・キッドマンは申し分無いけれど、ユアン・マクレガーがいまひとつ(好きだけどこの役には・・)なので恋愛ものとしてはまぁ余りピンと来ず、みずから進んで酔うという心もちが必要なのだった。