持つべきものはキョウダイ


 ホメロスの『オデュッセイア』をベースに、南部お得意のホラ話を連ねるように展開される、脱獄逃亡3人組の珍道中物語。あまりCGなど使って無さそうな舞台と題材で、実は高度なウソ映像が駆使されてる(らしい)ところも渋いです。浸礼派?の集団がしずしずと川へ進んでいくシーンとか、変な顔の俳優もいっぱい出てきてステキ。

 これほど音楽が重要な位置を占めている映画だとは、観るまでは全然知らなかった。ルーツ・ミュージック満載、ものすごくプリミティブすぎてアメリカ的なのかどうかも判然としないほど源流に遡った感じの音楽が流れるのだけど、どれも私の耳には新鮮で美しく聞こえる。おそらく今の商業的なカントリー音楽などのほうがかえって泥臭いのだろう。KKKの集会の場面が、唄・踊り共に滑稽さ&気持ち悪さがミックスされてインパクトあり。


 ところでジョージ・クルーニー演じる主人公の名前がUlysses Everett McGillというのですが、Everett McGillといえばあの『ツイン・ピークス』で陰鬱なガソリンスタンドの主人を演じていたちょっと悪役顔の俳優と同じ名前。なにか典拠がある名前なのかと思ったけど、調べた範囲ではわかりませんでした。偶然の一致なのかなー。ご存じの方あれば教えてください。