重量級かつ老舗ガホーッ

 金井美恵子『楽しみと日々』(平凡社)読了。

楽しみと日々

楽しみと日々

 美恵子の映画エッセイ+久美子(姉)のオブジェ箱、豪華カラー印刷のやや重い本なので起きてる時(笑)しか読みにくくて、これまで後回しに。
 ちょっと重箱の隅をつつくことにして、田壮壮が『呉清源』のロケを近江八幡で行ったという話のつづきで

美容院にヘアー・カットに行き、そこでパラパラめくっていた女性誌(雑誌本体の紙の重さでは『和樂』をしのぐ高級女性誌)で、近江八幡彦根と京都の、アメリカ人の医者で建築家ヴォーリズの設計した館の特集を見て、へぇーっ、そうなんだ、と知った(p.142「布地が語る愛」)

と書かれているのだが、ヴォーリズは「医者」ではない*1。よもやあの「高級女性誌」の記事がそんなふうに書いていたとも思えないので、筆者の誤読か勘違いだろうと勝手に推察したうえで、初出掲載『和樂』の編集者も、単行本化した平凡社の編集者も気づかなかったのか、それともこれほどの大御所となると勘違いも芸のうちなのか。やはりあの「高級女性誌」が、紙の重さだけでなく歴史と見識の上でも『和樂』をしのいでいるんではないかいと、ちょっと肩入れしてみたくなったりして。

*1:キリスト教伝道活動の一環として病院は建てたのですが