映画むかしばなし

 部屋を占領している展覧会や映画のチラシ・パンフレット、古い切り抜き類をなんとか整理しようとしているのだけど、遅々として進まず。

 
 1985年というと既にさまざまな物事がだいたい今と同じだったように錯覚しがちな私。要するに年寄りなのだが、それに加えて、なにぶん自分の生活が当時とほとんど変わっていないからだろう(結婚したり子供を持ったり転勤したり出世したりした人はもっと遠近感が明確なはず)。このチラシの字体やレイアウトを見ると、むしろ「これは(子供だった)昭和40年代の品物では?」と思ってしまう。冷静に考えればそれもそのはずで、'85年を<現在>と<昭和40年代>のあいだに置いてみると、もちろん真ん中よりも「むこう」なのだ。ふと、何もかもが信じられないような強い眩暈を感じる(笑)…
 後ろに置いてあるのはルイス・ブニュエル最後の監督作品『欲望のあいまいな対象』のチラシ。《京阪神独占ロードショー 巨匠ルイス・ブニュエル フェスティバル》で観たのがこの一本だけだったのかどうかも、記憶が曖昧である。いまは亡き北浜三越三越劇場は、アート系シアターとして大阪でわりと貴重な存在だったと思う。そういえば、百貨店の上層階に劇場が入っているというのも、いま思うと微妙に昭和の感じである。