もうすぐ返却期限…(--;)
記憶の中のファシズム―「火の十字団」とフランス現代史 (講談社選書メチエ)
- 作者: 剣持久木
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/11
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
香水の有名ブランド「コティ」の創始者フランソワ・コティが、1920年代に右寄りの政治団体にせっせと資金を提供する黒幕だったというのは、なんとなくイメージ壊れるわ(--;)
ところでこの本は、《火の十字団》と名乗る右翼団体が、新聞や映画などをつうじて実像とはかけ離れた「極右」「ファシスト」の代表格として記憶され、また何度も想起されることになった歴史的な経緯を論じているようです(まだ2割ほどしか読めてないので(--)ゞ)。思想的には穏健なものだったらしいが、なにせ名前がけっこうキてますからねー…。
最盛期にこの団体を率いた人物の遺族は、未だにマスメディアや要人の発言などで不適切な言及がなされるたびに反論し訂正を求め続けているとのこと。古い写真が誤って引用されたり、あるいは意図的なイメージ操作(ex.ナチスやファシストの映像との重ね合わせ)により、混同・誤解を生むところなど、この件に限らず歴史論争一般に関わってくることなので非常に面白く感じます。
ちなみに、《火の十字団》は30年代に婦人部を創設するなど女性の役割を重視していたとのこと。先日読んだ工藤庸子氏の『宗教vs.国家 フランス〈政教分離〉と市民の誕生』のなかで、「(修道院教育などを通じて)カトリック教会の影響が男性に比べて濃厚な女性が投票すると、保守派を利することになる」というような考えから、進歩派というか共和主義者はむしろ女性参政権の実現には消極的だった、と指摘されていたことにつながって、なるほどと思いました。