自由の輝き

 ここ数年は、秋に西宮市夙川のギャラリーで開かれる個展*1を楽しみにしています(私よりも母が)。今回の展覧会は、デビュー直後の貴重なマンガ原画から、過去に発売された文具などのグッズ、近年の個展のための作品まで、真琴さんの画業の全体像がひととおり分かるようになっていました。

 個人的には、1970年前後の『デラックスマーガレット』の表紙画が真琴作品とのいちばん印象深い出会いなので、原画と合わせて『デラマ』の現物が展示されていたのが感動モノでした。他にはやはり小学生の頃に買ってもらって使っていた記憶のある、缶ケース入りの色鉛筆(12色)も展示されていて懐かしかったです。
 また、80年代に入ってから子供向け雑誌などのために描かれた作品は、私にとってはある意味、真琴ヒストリーの空白期にあたるものなので、「この時期にもこういう絵をずっと描いておられたのか」とたいへん興味深く見ました。特に、『幼稚園』という雑誌に掲載された「おひめさまの島」は、いくつもの童話やおとぎ話が幼児向けとは思えないほど丹念に描きこまれていて、執念すら感じる作品でした。スケッチや下絵、制作風景の写真も展示され、たいへん几帳面なお人柄と共に、(メインの少女だけでなく周囲の)動物や花々のひとつずつに愛情が込められた真琴ワールドが出来上がる様子をうかがい知ることができます。真琴さんにとって、美しいもの好きなものを自由に描くということを形にしたのが、《少女》なんだと思いました。


 会場入り口には、早くも今秋の夙川展の予告入りパンフレットが置いてありました。まだまだ描きたいテーマがいっぱいあって100歳ぐらいまでは予定が詰まっていそうなので、お元気でがんばっていただきたいです。

*1:東京では春の個展が恒例となっていますが、関西展とはテーマ・内容が異なっています。熱心なファンは両方ご覧になるんでしょうねー〜