ここのダイアリーにはすっかりごぶさたしてしまっているので、(どーでもいいような内容しか書けないけれど)忘れてしまわないうちにメモ。
- 奥泉光『地の鳥 天の魚群』
- 作者: 奥泉光
- 出版社/メーカー: 幻戯書房
- 発売日: 2011/09
- メディア: 単行本
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このなかに出てくるテレフォン教団(?)の印象的な場面。黒い有線(固定)電話機を知らない人が増えていく今後、あのイメージは伝わりにくくなるだろうな。べつにそれほど重要なイメージでもないけど…。子供の行動がきっかけでお父さんである主人公が壊れていってしまうのだけど、ただひとり家庭に踏みとどまっているかに見えるお母さんのその後も気懸かりなのである。
カフカやキェルケゴールの名前が出てくるのをみて、室井光広のことを思い出した。奥泉光を読み始めたころはこの2人を同じような感じで読んでいたんだけど、室井氏はもう小説を書くのは止めてしまったのかな。
- クリストファー・プリースト『魔法』
- 作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,古沢嘉通
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 文庫
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じつは、ずいぶん前に図書館で借りて読んだ本で、著者も題名も何も忘れてしまっているのがあって、ただ海外小説の翻訳物だったことと、本の真ん中ぐらいで驚愕のどんでん返し(いわゆる叙述トリック?で、たしか語り手の性別をそこまでずっと取り違えて読まされていたような…)があったという記憶だけが残っている。それがひょっとしてこの本だったんじゃないかと推測して読み始めたのだが、結果は「たぶんこれじゃない」。ではあれは何だったのか…*1
この小説のなかでは、物理的・空間的に「見えない」ことと、時間的に「見えない」(記憶の消失や偽記憶)ことが絡まりあって、いったい何が真実なのかが分からなくなっていくのだが、上述のような私自身の〈いまここにある記憶蒸発〉という笑えない現実の状況が加わったため、複雑な物語がいっそう複雑なものに。
巻末の解説などは、『魔法』に比べたら『奇術師』が如何に平易で読みやすかったかをやたらと強調しているのだが、正直言うと私には『奇術師』もよくわからないところがあったのだ、たしか。やっぱり読み直すべき?それとも、映画を観てから?
*1:図書館でその本を借りて読んだ、という事実じたいが無く、全くの「偽記憶」なのかもしれないし、私が内容を憶え間違えていて、あれはやはり『魔法』だったのかもしれない。