松原隆彦『宇宙に外側はあるか』(光文社新書)読了。
- 作者: 松原 隆彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/02/17
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
十数年前だと思うけれど、ひどく印象に残る悪夢に苦しんだ一夜があった。
ジグソーパズル(ただし、よくあるクネクネした凹凸のあるピースじゃなくて、三角形とか不等辺多角形とか直線で構成されたピースばかり)のようなものを必死で解いている夢である。
やっと探し当てたひとつのピースを嵌めると、なぜか先に嵌っていた他の箇所のピースが変形して、ピッタリ合っていたはずのところが崩れてしまい、そこを直すとまた他の箇所が…と、いつまでたっても進まない。
それでも懸命に取り組む私を、なぜかパズル盤の上隅あたりから、あの帽子をかぶったナポレオンみたいな顔がじっと見おろしている。そいつが悪い奴で私のパズルを妨害しているのか。わけがわからないまま、またひとつ、どうにか合いそうなピースを見つけ出してはめ込むと、また他の箇所が……
と苦悶したあげくハッと目覚めると、インフルエンザで高熱を発していたのだった。
ふだん熱を出すようなことがほとんど無い私は、あれが世に言うところの“熱に浮かされ”た状態なのか、と非常に感じ入ったというわけである。
新しい観測・発見や証明がされるたびに、それに合わせてこの宇宙を説明しようとするいろんな理論を次々と編み上げてきた人類の歴史を思うと、なんだかあのキリのないパズルを連想し、宇宙論とは人類の長い悪夢なんじゃないか。というよりこの宇宙そのものが、熱に浮かされた神がしばしの間だけ見ている夢のなかのパズルなんじゃないか、という考えがふと浮かんできてしまった。もちろんなんの根拠もない…
読んで「理解」できるとは最初から思ってなくて(汗)、ベストセラーになったあの宇宙論を読むのもちょっと腹立たしいので、少し違うものを…と手に取った本書。タイトルにも心惹かれたし、単に物理学というよりも形而上学のような領域に入りこんだ後半は特に面白く読めた。素人にも親切に書かれた本という感じ。