溶/解けきれないパズル


 『アザーズ』がとっても気に入ったので、こちらにも期待してみたのですが、ちょっと当てはずれ。思ったほど耽美傾向でもなく、目の覚めるようなトリッキーな映像というのも見あたらなかったし・・・。
 最後のほうで《テレビの男》がわざわざ「どこそこから先が夢だよーん」みたいな種明かしをしてみせるのもよけいなお世話だし、その割には「だったらそこより以前のあの部分はどう説明するんだよ?」な箇所もあり、全部説明してしまったつもりなのかそれともまだ騙してるつもりなのか、意図の解りにくい結末。中途はんぱというか・・

 私はこの手の、カギ括弧の片割れだけいつまでも出てこないみたいな結構にはイライラしてしまう単純な性格だし、こういう多義的というのかambiguな話は苦手なのだ。
 関係ないと言えば関係ないんだけどタイトルの類似とトム・クルーズ絡みでつい連想してしまう『アイズ・ワイド・シャット』がとっても明快な飲み口?の映画だったのに比べると、どうもスッキリしないのでした。
 
 考えてみれば、男なのに顔面が変形したぐらいで(!)あんなに絶望的に人生が激変してしまうことの異様さが、この映画で一番驚かせてくれる点だったかも。ラテン男だからこそでしょうか。もともとそれほど超美形とも思えないので、なおさら・・・
 とは言えその主人公ももちろん悪くはないのですが、気の毒な親友役Fele Martínezのほうがちょっと気になる・・・と思っていたら、今度の『バッド・エデュケーション』に出てるんですね。それからなんといってもペネロペ・クルスが可愛らしかったので、俳優陣は◎。