我修院さんも血族

 この邦題いいですね。たしか公開当時、友達と劇場で観たはず。登場する狼男の顔が「□□さんに似てる〜」「そうそう、眉毛くっつきかけてるもんね」とかアホなことで盛り上がった記憶がある。今回見直してみると、それ以後に知り合った別の知人にやっぱり似ていると思ったり。日本人にも案外「狼男顔」の人がいるもんですね。
 記憶していたよりも全体にこっくりと(イギリス映画らしく)濃厚な映画でした。恐怖をあおる奇妙な音楽に『サスペリア』を連想したところも。森がチャチなのを除けば絵にはそこそこ重みがあって、領主さまの結婚披露宴の場面とか意外に豪華(笑)。狼に変身する場面の特撮は当時もけっこう話題になったはずだし、いま観てもなかなか力作と思いますが、変身中の面白さに比べて、変身しきってしまうとただのショボい犬なのが可笑しい。ラストで異界からの奔流の如く狼たちがなだれこんでくる場面はとても好み。それだけに、ケルト的な森の勝利を感じさせるような、リアルで圧倒的な森の映像が欲しかった。夢だから、おとぎ話だから作りものっぽく・・・ということかもしれないけど。


 びっくりするようなカメオ出演もあったりして、俳優が皆わりとしっかりした人たちで良かったような気がする。主人公の赤ずきんちゃんを演じたSarah Pattersonは、他に白雪姫役で1本の映画に出演しただけでほとんど引退状態だとか。そう言われるとよけいにゆかしく思える。
 ついでに、迫力有りすぎのおばあちゃん役がAngela Lansbury。“ジェシカおばさん”のイメージが強いのでアメリカ人と思いこんでたけど、UK出身なのでした。それにしても、こなごなに砕け散ったおばあちゃん、《いったい何でできてたの?What was the grannny made of?》