修道士だって亡霊は怖い

 杉崎泰一郎『ヨーロッパ中世の修道院文化』(NHK出版)読了。


 これはNHKカルチャーアワー「歴史再発見」(NHKラジオ第2放送)のテキスト。今年4月〜9月で既に放送終了した番組だが、良さそうなので6月にテキストだけ購入してあったもの。


 「参考文献」のところに、先日読んだ橋口倫介『十字軍騎士団』が挙げてあったりするので、読む順序が逆になったという気はするのだけど、もちろん修道院といえば騎士修道会以外にもさまざまあり、これはこれで有益かつ面白かった。シトー会とかフランチェスコ会とか、聞いたことはあってもどういう経緯でできたものでどう違うのか、など知らないことが多かったので、なんとなくそれぞれのイメージを持つことができたのが良かった。


 それと、この本では平凡社の『中世思想原典集成』(上智大学中世思想研究所編訳・監修)から多くの引用がされている。このシリーズ、おそろしく堅くて難しくて象牙の塔っぽくて、素人には全く縁のない書物群という印象しか無かったのだが、これの第7巻にペトルス・ウェネラビリス『奇跡について』という書物が収録されている。テキストにはこの書物から幾つかのエピソードが紹介されていて、クリュニー修道院周辺で見聞きされた幽霊目撃談などの「ふしぎなお話」といった感じのものなので、『耳嚢』みたいで面白そうと思った。もちろん自分では買えない(笑)が一応載せておく。


 **このシリーズ、平凡社ライブラリーにも入ったような気がしたけど、それはカン違いで(ちょっと考えが甘かった)、平凡社ライブラリーに入ってたのは同じく上智大学中世思想研究所編訳の『キリスト教史』全11巻のほうだった。これも読めもしないのに載せる。