- 作者: アガサ・クリスティー,三川基好
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/05/14
- メディア: 文庫
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はまぞうリンク先は「クリスティ文庫」版で、今回読んだのは家にあった旧ハヤカワミステリ文庫版(田村隆一訳)。「クリスティ文庫」には従来版の訳のまま再録された作品も多いようだが、本作は改訳されたみたい。私自身は、田村訳でもべつだん読みにくいとか時代がかった表現で不自然と感じるような点は無かった。
これを読もうと思ったきっかけは以前に書いたとおり、著者本人とファンクラブの選んだベスト10というのに共通して選ばれていたので、それほど面白いのか!と気になっていたから。
お話の本筋は、海辺の別荘に集う有閑階級の人たち(遠い親戚やら、知人の知人やら)、男女関係のもつれ、遺産相続、「クリスティのお話ってこんなパターン多いよね」と言いたくなるストーリー。トリックも解明の道筋もちょっとズルいなという感じはあるが、法曹たちの炉辺談話シーンに始まり、殺人に至る筋書きを練り上げている犯人の後ろ姿を経て物語の幕が上がるというちょっとメタ的な造りが面白くて惹きつけられる。特にその法曹の1人が問題の別荘に現れて物語本体に関わってくるところも、「外枠が内側へ入りこんできた」みたいな不思議な感じがしてミステリアス気分を盛り上げる。
ところでこの作品、知らない間に映画化されていた→『ゼロ時間の謎』配給元公式サイト。これはフランス映画で(原題"L'heure zéro")舞台も登場人物もフランス[人]に変更されている。バトル警視→バタイユ警視というぐあい(笑)。でもあらすじを読む限りではまずまず原作に忠実っぽい。