このところ読みおえた本

こわれた腕環―ゲド戦記 2

こわれた腕環―ゲド戦記 2

 再読了。暗い闇の力とその神殿に仕える巫女たちの社会、地下の迷宮世界が強い印象を残す。もしも初読が子供のころだったらかなり衝撃が大きかっただろう。



神仏習合 (岩波新書)

神仏習合 (岩波新書)

 序章の「巫女の託宣 誰が平将門新皇位を授けたか」というタイトルが、いきなり強力な“つかみ”。そのままずっと面白く読めるけど、結びの章「普遍宗教と基層信仰の関係をめぐって」を最初に読んだほうが、わかりやすくなるかもしれない。(日本において神道仏教が「習合」するということの意味が、キリスト教とゲルマン・ケルト信仰の関係と対比、またインド・中国・朝鮮での仏教のゆくえとも対比して解説されていて、大きく全体がつかめる感じで。)どっちにしても私には、ぐるっと戻ってもういっぺん読まないと難しいけど…



刈りたての干草の香り (論創海外ミステリ)

刈りたての干草の香り (論創海外ミステリ)

 深刻かつ手に汗握るバイオ&モンスターパニックホラーのはずなのに、いかにも英国[小説]風の意地悪でけったいな人物描写がちらほらと織り込まれていて、(ここ笑っていい箇所かなぁ…)と迷いながら読了。
 巻末の解説で、笹川吉春氏が他の代表作も幾つか紹介していて、スパイ小説やミステリ、ホラー、SFなどが混然となりつつ「最終的に“そこかよ!?”と驚くべき地点に到達するところにブラックバーン作品の魅力がある」と評している。なかでも『闇に葬れ』について

伝奇ミステリ風の展開がいったいどこに向かうのか、予想がつく人間はまずいまい。スレた本読みの度肝をも抜いた異色作中の異色作。こればかりは、仄めかすことすらできません。

と書いているのが激しくそそるので、これは腹をくくって(?)続けて読むことにする。


闇に葬れ (論創海外ミステリ)

闇に葬れ (論創海外ミステリ)

 『干草の香り』に出てきた渋カッコいいカーク将軍は、ブラックバーン作品のレギュラー出演者らしいのだが、『闇に葬れ』はシリーズ外なので出てこない。そこだけ残念。