カバー裏は凝視するなかれ

中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)』読了。

中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)

中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)

 別冊幻想文学中井英夫スペシャル』などからの再録物は既読なんだけど、何度読んでも意外というか可笑しいのが以下の部分:

(...)そのころ有吉佐和子さんと二人で原稿用紙を作ったのね、一連四千枚を二千枚ずつ分けて、彼女はそれを全部、原稿料に換えて、あっという間に売り出しちゃったけど、こっちは全部書き損じにして、それからそのあと自分だけでまた何回か、一連ずつぐらいかな、作っては潰し、作っては潰し。だから一万枚以上は書き潰してるわけです。  (1992年のインタビュー)

 中井英夫とよりによって有吉佐和子ていうのが、どうしてもイメージ的に結びつかない。いったいどういう知り合いだったのか、どこかに書いてあったかなぁ。
 
 ミステリー者としての中井英夫を論じた千街晶之、強引(?)に折口信夫に結びつける安藤礼二が面白かった。それと(ごく最近になって初めて目にした)グレゴリ青山のマンガが可愛くてファンになりそう。ほんとに性格の悪そうな人たちも何人か書いていて持つべきものは友。