どこまで信じて良いのか、DNA鑑定

 apesnotmonkeysさんがこちらの記事→DNA鑑定と冤罪疑惑 - Apes! Not Monkeys! 本館でとりあげておられる「サンデープロジェクト」の特集。
 用事をしながらだったので飛び飛びにしか見てないのですが、DNA鑑定の精度・信頼性が上がったことで、かえってそれが問答無用・無敵の「印籠」化してしまい、他に数々ある不自然な点・矛盾点を全て覆い隠すツールにされかねない危険性を知らせている内容でした。 

 それにしても一番ゲェーっと思ったのが、(無実を訴えている)容疑者男性の、事件当時の髪形が肩ぐらいまで長い自慢のドレッドヘアだったのに、被害者が証言する犯人2人組の髪形は「丸刈り」と「耳に掛かるかどうかぐらいの長さ」だったという大いなる矛盾点。これは普通、「それはおかしいんちゃう?」と全員いっせいにつっこむところでしょう。そういう意味で「市民感覚」がちゃんと取り上げられ生かされるのなら、裁判員制度をどんどん稼働させてほしいですけど。

 それから、これもちょっと前に『ザ・スクープスペシャル』、『映像'09』 - Apes! Not Monkeys! 本館で紹介されていたので深夜に慌てて見た『映像'09「DNA鑑定の呪縛 」』も、充実した番組でした。
 これまで何となく聞いていた「DNA型が一致」「DNA鑑定の精度が向上した」という言葉は、具体的にどういうことなのかを、グラフィックもたくさん使って詳しく説明していました。今から20年ほど前に実施されていた鑑定方法の精度の低さ(=目盛りの粗さ)もさることながら、人間がパターンを見て目視で「一致」と判定する方法である以上、きわめて恣意的な判定がされる可能性もあることが、映像ではっきり伝わってきて怖いほどだった。この番組では、そのような(純粋に技術的な面での)DNA鑑定の問題点を指摘するだけでなく、ではなぜそんな未熟な技術が強引に捜査現場での実用に持ち込まれたのか?という角度から、警察官僚の都合やプライドのために無実の人が犯人に仕立て上げられた可能性も浮かびあがらせていました。

 これまで、最近はDNA鑑定がとても精密に出来るようになったらしくて良かったわねー、としか思っていなかった私にとってはショックな2本の番組でした。けさの番組で(直接主張されてはいないけど、そこから)想像しうる捜査側の「でっちあげ」はひどすぎて、それを疑い始めたらきりがないというか、なんでも有りになってしまう。「可視化」とはいっても捜査のプロセス全部を誰かが見張ることは不可能だし。証拠品の保全の厳格化(再鑑定ができないような証拠は不採用とか←これでまた困る事態も起きるでしょうけれど)ぐらいしかないのでしょうか。