夏の小宇宙

映画 『モリのいる場所』を観てきた。

mori-movie.com


 ほとんど予備知識無く、山崎努主演という点にだけ惹かれて出かけた。だいたい日本の映画やドラマは苦手(芝居がクサくて学芸会を見せられているみたいで、恥ずかしさに居たたまれなくなる)でほとんど観ないのだが、この作品は脇役に至るまで演技がなかなか自然で厭味が少なかった。とくにカメラマン&助手、この辺りはきっと芝居がわざとらしいに違いない…と出てきた瞬間に思ったのだがそんなことはなくてよかった。
 冒頭の、庭をじーっとカメラが移動していくあいだに、むかし観た(数少ない日本映画のひとつ。内容はほとんど憶えていない)『ロビンソンの庭』を思い出していた。モリの庭はどのくらいの規模なのか、周りはいったいどうなっているのか、なかなかわからない仕掛けになっているが、最後までみると、全く似ていないと思われた『ロビンソンの庭』の庭、にやっぱり案外似ていたんじゃないかという気がしてくる。

 “仙人とも呼ばれたという老画家”にしては顔肌に艶がありすぎ眼光が強すぎるぜ山崎努…と思ったが、実際の熊谷守一の顔写真を見たらなかなかの男前で、91歳にしてぜんぜん枯れた感じがしないので、あれでちょうど良かったのかもしれない。
 山崎モリがガンダルフにそっくりなのは、監督自身が『ロード・オブ・ザ・リング』を狙ったと語っているので意図的なものなのだろうが、それ以外にも『ホビット』に出てくるドワーフの宴会を思わせる場面もあるし、なんといってもあの俳優が最後にはエルフとして…さすがに驚きました。



www.jprime.jp