ダニエル・オーフリ『医師の感情』読了。
- 作者: Danielle Ofri,堀内志奈
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2016/05/30
- メディア: 単行本
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【20170306追記】
訳者による紹介文が掲載されていました。
『医師の感情―「平静の心」がゆれるとき』書籍紹介 心に悩みを抱える医師へ〜『医師の感情』翻訳に込めた想い
【エピロギ】 http://epilogi.dr-10.com/articles/2036/
衝動的に購入してしまったものの、このシンプルな書題と装幀、帯の"ルポルタージュ"という言葉から、「これこれの調査に対し、医師の○○パーセントが××と回答している」のような、無味乾燥な内容かも…と読む前にもうガッカリしかけていたのだが、予想に反してこれはひじょうに生き生きとして面白いエッセイだった。
【余談】いま、無料BS放送のD-Lifeで『ER 緊急救命室』を連日放映している。昔、NHK-BSで放映されたときにもちろん観ているのだが、あのとき初回から欠かさず観たという自信はなかったので、今回ぜひ第1シーズンからみなおしてみようと毎日楽しみにしている。現在もう第3シーズン。で、やっぱり第1シーズンの初めのほうは確実に「これはみていなかった」「記憶にない」と思ったのだけど、「これは途中から出てきたキャラ」と前から自分が認識していた(=つまり、その人物が初登場した回の時点では既に自分は番組を観ていたはず)のDr.キートンやDr.ガントが出てきているのに、まだストーリーや内容に「これは昔みた」という確信が持てない。それだけ、昔みたはずのお話をすっかり忘れているというわけ。どうなっているのか私の頭、私の過去。
さて、『医師の感情』の著者Dr.オーフリ(ダニエルというお名前はカタカナだとどちらか分からないけれど、女性です)が長らく働いている病院も、あまり裕福でない患者がどんどん運び込まれてくるような公立病院なので、あのドラマに出てくるカウンティ総合病院におそらく似た環境だったと思われ、書かれているエピソードの幾つかは、まさに「読む『ER』」という感じ。自身が経験した大小の失敗、恥辱や失望や後悔も率直に描かれる。もし著者が男性だったら、自らの「感情」をこれだけ素直に書けるかしら(認めるという意味でも描写力という意味でも)、という気もちょっとした。
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