お屋敷ものが好き!

平井呈一編訳『恐怖の愉しみ(上)』読了。

 
 古風で豪奢な建物が出てくるのが好みなので、道具立て・筋書きいずれの面からも気に入ったのが、A.M.バレイジ「象牙の骨牌(かるた)」。冒頭の、女中奉公に出ていた語り手のは母親の性格からじっくり語り始めるあたりの調子がなかなか落ち着きます。
 メイ・シンクレア「希望荘」も、アガサ・クリスティものを連想させる登場人物たちが良いですが、建物の魅力は薄い。コッパード「消えちゃった」のような“奇妙な味“ふうの作品は、ハマれば大好きなのですが、本集に限っていえば余りこれというものはありませんでした。