成田屋ごのみのキモノ


 十二代目市川團十郎夫人、堀越希実子さんが季節ごとの装いを紹介する美麗な本。
 希実子夫人は京都のきものメーカーから「茶屋ごろも」というブランドで、自らプロデュースする着物を発表してすでに10年にもなるとのこと。

 この本も、紹介されている着物の半ばはそのブランドのいわば商品ですが、どれもシックで上品。團十郎家は江戸歌舞伎の代表だし、希実子夫人自身も東京出身ということで、やはり着物の傾向はさっぱりとした粋なものが多いです。でも昨今の雑誌で時々見かける、洋服ぽいモノトーンの着物にありがちな"モダンすぎて嫌み"な感じはなく、あくまでも古典的な柄ゆきと色遣い。ましてご本人がグレイのショートヘアにほっそりした着姿がとても美しい女性なので、抑えめの装いがかえって引き立って素敵です。
 團十郎家ゆかりの柄(「かまわぬ」や荒磯模様、三升、市川格子)や、海老蔵襲名を記念して誂えたという海老をあしらった絵柄など、他では見られない面白い着物にも興味が尽きません。特にp.151に載っている六弥太格子に海老の小紋(女物)は、カラー写真で見てみたい!