再読は遠い夢みたいで

早瀬耕『グリフォンズ・ガーデン』読了。

グリフォンズ・ガーデン (ハヤカワ文庫JA)

グリフォンズ・ガーデン (ハヤカワ文庫JA)

四半世紀ほど前に出た親本のほうを、ずいぶん昔、図書館で借りて読んだこと、森に囲まれた秘密めいた研究所が舞台になっているところに憧れを感じたこと、登場する女性たちがいかにも理系男子の思い描く理想というか都合のいいタイプ(?)に思えて苦笑するしかなかったこと、etc...ぐらいしか憶えてなかった*1
にも関わらず(orだからこそ)ずっと気になっていたのだけど、この小説について誰かが語っているのを見聞きすることもほとんどなく、作者のその後も音沙汰ないままで時は流れ、ますます気にかかって…
数年前にまさかの新作*2が発表され、それに続いてよもやと思われた本作の文庫化。ついに再読する時がやって来た。

最初あんなに期待させる「研究所」のディテールは、後半わりとどうでも良くなっていってしまい、なんとなく尻すぼみな感じ。もっとあの施設が主役になって何かが起きる話になっていけば面白そうなのだけど。
記憶のあてにならなさがテーマのうちのひとつと言えなくもない作品だけに、自分の読書記憶が捏造(美化)されていたことに驚きや失望もそれほどなく、やっぱりね…という納得感。80〜90年代のあれこれを懐かしむことができないと損かもしれない。

それでも続編を読むか、考え中。

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

*1:ミルフィーユを上手に食べる方法が説かれている箇所はだいたい記憶の通りだった

*2:読んでない。本作を再読して確かめてからと思って。