- 作者: 楠見朋彦
- 出版社/メーカー: 笠間書院
- 発売日: 2018/11/09
- メディア: 単行本
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前川佐美雄といえば、たしか高校の国語の授業で……とここまで書きかけて、今、ホントに今、いやそうじゃないのでは?!…と忽然と思い出した気がするんだけど、あれはもっと後になってから塚本邦雄のエッセイかなにかで紹介されているのを読んだのではなかったか?! もう、どれが事実か思い出せない、けど歌だけははっきり憶えている
《思ひ出は孔雀の羽とうちひらき飽くなき貪婪の島へかへらむ》
この歌の作者として知っている、ただそれだけで、どういう歌人なのかろくに知りもしない。
この、“記憶のなかの《思ひ出》の歌” を文字の形で手もとに所有したい、と思って今回の本を買ってみたのだが、ざっとめくってみた限りでは、なんと、この歌は収録されていないようだ。
確かに前川佐美雄の歌だったよな?…と不安になりGoogle検索してみたが、出てきたのはブログ記事1件のみ。
代表作というわけではなかったのか。選ばれて教科書に載っていたかのように自分の記憶を捏造していたから、勝手に重要作と思い込んだが、そうじゃなかったのならべつに不思議でもない。
たぶん私の記憶のなかにはプラスチック製の模造孔雀羽根みたいなものがぎっしりつまっていて、華麗なようでどうにも俗悪な暈のかかった色彩を放っているにちがいない。そんな記憶を頼みに、さてどこの島へ向かって船を出そうというのやら…