犬という愛の形態

『フルーク』カルロ・カルレイ監督(地上波・吹替版)

交通事故で死亡した男性が、なぜか子犬に生まれ変わった。人間としての記憶を取り戻すにつれて妻子に迫る危機を思い出した彼は、友人の犬の助けを借りて家族を救うために奮闘する。(新聞のテレビ欄解説より)

 犬たちの名演に、とうてい涙をおさえることが出来ません。幸せな子犬生活もつかの間、母犬ともども犬捕獲係につかまってしまうあたりからもう泣け始め、その後も犬のいぢらしさ大爆発。ファミリー向けの心温まる他愛ないストーリーかと思わせますが、『メメント』ばり(?)のどんでん返しも用意されていて、アクセントが加えられています。南部ジョージア州で撮影されたという風景も美しい。

 マシュー・モディン、エリック・ストルツ、ロン・パールマンに加えて、サミュエル・L・ジャクソンが犬のランボーの声で出演という超豪華キャストです。このランボー(引用した解説では「友人の(飼ってる)犬」とも取れそうですが、そうではなくて「友達になった犬」です)吹き替えでみていてもサミュエル・L・ジャクソン風味を感じさせる渋い演技。見終わってからキャストを知って納得&驚きでした。
 ところで『南極物語』という映画が(どういう了見でか知りませんが)リメイクされたそうです。私にとってこれは、見捨てられ虐殺された者の物語であるという点で『ホテル・ルワンダ』『シンドラーのリスト』などと同じ範疇に属しますが、後2者とは違って、絶対に観るのはイヤな映画です。



(2007/3/28追記)この映画の原作はジェイムズ・ハーバート『仔犬になった男』らしいです。
こちらのブログ→奇妙な世界の片隅で 犬も捨てたもんじゃないの紹介文を読むと、原作も良さそう(でもやっぱり泣けそう)。