アーカンソー州兵のその後

 2月の日記に書いた、「帰還を待つ家族 〜 アーカンソー州兵 イラク駐留」の続編(最終話かな?)。
 このシリーズにずっと登場しているクラークスヴィルという町から出兵したのは57人。帰還を目前にして、その中の1人が狙撃され死亡した。基地の中の殺風景な一室で執り行われる葬儀のようすが映し出された。

 部隊はイラクから撤退する際、帰国前にクウェートの施設で2週間休養する。帰還兵が“戦争モード”から抜けきれず、帰国後にトラブルを起こすケースが多いことの反省から、クールダウンのためにわざわざそういう施設と期間が設けられているのだ。アメリカ国内と同じように品揃えされたショッピングセンターで買い物をし、ファストフードのカウンターに並んで注文をし、カラオケで歌う。ある種の「病んだ人」としてリハビリさせられているのだと思うと、少しもの悲しい光景だ。


 七面鳥農場を営んでいる州兵のひとりは、留守をまもり農場を切り盛りして来た妻と再びうまく折り合っていけるか、気がかりなようだった。自分は仕事のカンを取り戻せるか。妻にも妻のやり方があるだろうし。また新しい恋人同士のように一からやり直しだ。そんなふうに呟いていた。

 そういえば、前回までクローズアップされていた数人の中に、本職が牧師さんという州兵がいた。彼と若い妻は、離ればなれになったことでお互いに信頼を失いかけているようで、国際電話で口論を繰り返していた。完璧ではない弱い二人が、日々近くにいることで支え合って平穏に暮らしていたのに、そんな生活が簡単に崩れそうになっていくのが気の毒だった。とりわけ夫のほうは、地域社会で牧師という役割を担うことがむしろ彼自身を支え、そこから力を与えられているように見受けられた。その役割を剥がされ戦場へ送り込まれた彼の姿は、よるべなさを感じさせた。けっきょく彼は負傷していったん帰国することになり、妻と再会して抱きあい、わだかまりが解けていくことを予感させる場面で前回は終わっていたと思う。あれからあの夫妻はどうしているだろう? 知り合いでもないのに気にかかってしまう。