つながる世界に期待

グレッグ・イーガン『祈りの海』(ハヤカワ文庫)読了。


 ちびちび読んでやっと終了。さすがにほぼ全部おもしろかったです。
 「貸金庫」や「無限の暗殺者」みたいに、冒頭で主人公の置かれた特殊な境遇がパーンと提示される話が、小気味よくてどちらかというと好き(ただし後者はオチが理解できず)。「繭」「百光年ダイアリー」「ミトコンドリア・イヴ」みたいに、話が社会的に大きくなってしまうタイプはちょっとベタだなぁと思わなくもなかったですが、ワクワクはしますね。「祈りの海」の作品世界、設定には圧倒的に魅了されました。感動的だけど結末だけちょっとショボいかも。一番気に入ったのは「イェユーカ」と「貸金庫」というところです。
 訳者あとがきに《レムと通じるところが多い》とありましたが、そういえば『ソラリス』を読んでいる時に私が思いだしていたのはテッド・チャン『あなたの人生の物語』で、いまのところは私にとっては未だチャン>イーガン。でもとにかくイーガンのほうが読める作品が多いので、またどれか読もうと思います。


 何度もしつこく書いている大森望氏の推奨読み順では次は『しあわせの理由』だったんですけど、先日『ひとりっ子』を読了された厘時さんが

短篇集は『祈りの海』⇒『ひとりっ子』⇒『しあわせの理由』の順番で読むと吉、と何となく思った

と、読み順に言及しておられるのを読んだので、おーグッドタイミングちょうど間に合ったわ。というわけで、nextイーガンは『ひとりっ子』の予定。長編挑戦はまだまだ先のことになるでしょう・・・