泰然とし過ぎた探偵語り


バルドゥイン・グロラー/垂野創一郎:訳『探偵ダゴベルトの功績と冒険』(東京創元社)読了。


探偵ダゴベルトの功績と冒険 (創元推理文庫)

探偵ダゴベルトの功績と冒険 (創元推理文庫)


 書かれたのは1910年代なのに世紀末っていう惹句はいいのか…と訳者氏のブログでちょっと話題になっていましたが、1900年代なのに19世紀…というのは映画『危険なメソッド』を観たときに私が感じたことに近い気がするので、むしろフムフムその通り、と思ってしまった。いつも同じダゴベルトが同じ夫妻の客間に招かれて同じ調子で手柄話を…という退嬰的(?)な感じも、たぶんその頃のその階級の雰囲気に相応しいんでしょう。

 最終話、唐突にダゴベルトの飼い犬が出てきて、しかもあの結末(それも淡々と)になるんだったら、最初から犬は持ち出さないで欲しかったんですが(涙)!