なかなか読み進まないので途中だけど書いとく。かなりfavoriteになりそうな本。
- ハンス・ヘニー・ヤーン『十三の無気味な物語』
- 作者: ハンス・ヘニー・ヤーン,種村季弘
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1984/05
- メディア: 新書
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これ、とても濃いので日中はほとんど入り込めず、夜にちびちび読んでます。でも数行読むと睡魔に襲われるの繰り返しでね…
最初の1、2篇を読んだ時点ではまたもやエリック・マコーマック『隠し部屋を査察して』を連想し、あれ以来のウットリ感…と期待したが、どうやらもっと濃厚&重い。変態(?)度は近いようだけど。
古い民話や語り、年代記などの形式をとりつつ異様に歪んだ愛と妄執と破滅が描かれる。種村季弘の訳したものを読むのはたぶん初めて(というか、いちおう澁澤ファンではあったものの種村氏の著作はほとんど読んでない)。少し曲がりくねって複雑奇矯な感じの文体も、かえって陶酔感を呼ぶ美しさ〜。あれっ、「含むブログ」を見てると、気持ち悪すぎて途中で脱落したっていう人がいますね。私は楽しいけどなー
Uブックスに入るずっと前、白水社の海外文学シリーズしかも真っ白なカバーになる前の古いタイプ*1の頃から、書店で背文字だけは長らくおなじみだった(もしかしたら30年以上)のに、これまで読まずにいて、さてどうして最近になって*2これを買って読もうと思ったのだったか、自分でもわからない。この歳になっても本との出会いは不思議であります。…って言ってる暇に早く読めば>私
追記:目録を見て気づいたことだけど、白水Uブックスって通し番号1〜50は『シェイクスピア全集』と『チボー家の人々』で、51が『ライ麦畑でつかまえて』その次の52がこの『十三の無気味な物語』。というわけで、たぶんシリーズ中でも最も歴史ある作品のひとつなのですね。
11/2読了&追記:少年のメカニカルな幻視世界が華麗に展開する「時計職人」「少年が泣く」、エキゾチックな「奴隷の物語」「サーサーン王朝の王者」、つつましく孤独に生きる主人公が、傷ついた他者の肉体を前に思いがけず愛に似た何かに襲われる「モーフ」など。難解なのになぜか心に焼きつくような物語。
*1:たぶんこちらのブログ記事の画像が同タイプ→北園克衛の装丁 : 白 の 余 白